木刀作り



 先日、木刀を作った。これはその簡単な記録。

 木刀は現代の剣道では日本剣道型の練習に使う程度、その時だけのものだし稽古で本気で打ち合うことは危険なので 使われていない。竹刀より重いので、素振りに用意して鍛錬するというのが普通だろう。持っていなくても試験の時に ちょっと借りれば済む程度、まあ過去のものだ。

 個人的には竹刀より木刀の方が馴染む。宮本武蔵は佐々木小次郎との巌流島の戦いでは 小船の予備の櫂をその場で削って小次郎の物干し竿と呼ばれた長刀に対抗して勝利したそうだ。確かに木刀で十分な気合で 撃たれたら、致命傷になっても不思議は無い。その意味では立派な武器だ。

 普通、木刀には樫の木が使われる事が多い。豊富にあって強度が高いから、私もかつての自作では樫を仕入れて作ってきたが、 今回は栗である。養蜂家の時波君が伐採した枝を貰って作った。今回はまだ 乾いていない木なので、処理可能な細めのものから小太刀を削りだした。大刀用はただ今乾燥中だ。


 木の枝から道具を作った事がある人なら良くわかることだが、真っ直ぐな枝など無い。面が出ているわけが無い。 先ずはどのような形になるかを想像しながら、その左右面をアバウトで削りだす。





 下はある程度形になったもの。上が素材状態。カンナとカッターナイフで削りだすのだが、小枝の跡や皮部分、 腐った場所など削ってみないとわからない。それらを見ながら臨機応変な処理が必要だ。



 ある程度削り込んだら表面処理とのからみで慎重に削らねばならない。硬い木は木目も癖も強く、カンナでも 順目と逆目がわずかの間に混じり、無理をするとどんどん傷が深くなる。その辺の加減が難しい。



 ほぼ二本とも基本の形が出来た。形としては鎬造りで、切っ先はすっきり切り落としの感じにした。ここからは 仕上げに移る。微妙な高さをカッターで修正し、取りきれない引っかかりは中目のヤスリで少しずつ修正・・・



 金属用ヤスリからサンドペーパーにタッチして滑らかにし、二本でこすりあって目を留める。普通の木だとこすりあえば 痛むが、堅木は同じ硬さの木でこすると目が詰まってピカピカになる。下手な塗装よりはるかに滑らかで美しいので、 カスタムナイフのハンドル仕上げでも私はこの方法が多い。市販の鍔を加工して取り付けて完成。




 ちょっと細身の小太刀。真剣の小刀によくある大きさ。定法どおり片手で扱うのに適す




 素振り用に出来るだけ太さを維持したタイプ。木の曲がりや癖を取り切れなかったが、実用強度は高い




   栗の木は鉄道の枕木に使われたりしている。粘り強さが抜群だそうだ。重さは樫より少し軽いから振り回し易い。 今回の経験を参考にして、秋には乾燥中の材から太刀を作る予定。